種々の回転電気機械の運動方程式を統一的に求めた.これにより、直流、交流、 三相などの発電機やモーターの差異が non-Riemannian 空間における単なる 座標変換に過ぎないことが明らかにされた.
心理的量は物理的量とは本質的に異なる.そこで、心理的量を定量的に表すために、 本論文では、個々の心理適量を互いに相関をもつ確率変数と考え、それらの間の 距離として、条件付きエントロピーを定義し、これらの条件付きエントロピーが 距離の三角公理を満たすことを示した.また、心理的量は雑音に晒されるとした 場合にも、それが条件付き相互情報量に拡張され距離の三角公理がやはり 満たされることをしめした.
聴音感覚の pitch と loudness を例にとり、心理計量の scaling が 1次元射影空間における楕円計量、双曲計量、ユークリド計量として表されることを 実験データを用いて示した.心理心理感覚的量は一般に射影変換に従って 変換される自由度をもつことの実証に他ならない.これは 心理学に おける Weber-Fechner の対数法則の自然な一般化である.これに対し、 物理的量は一般にアフイン変換に従う.
1970年代に入って開始され1980年代にかけて急速に発展した多元情報理論のうち 相関を有する情報源の符号化定理について解説したもの.各種の多元情報源の システムに対する許容レート領域を導くための基本的考え方に重点をおいている.
Shannon が情報源符号化の基本定理を与えて以来、データ圧縮技術が 高度情報化社会における高度の要求、例えば、フアクシミリ通信に関連した 画像圧縮技術、計算機(通信)関連の大容量フアイル・データベースシステムの 圧縮技術などの要求を満たすようになったのはつい最近のことである.本論文は、 これらを可能にした Pasco, Rissanen の算術符号や Lempel-Ziv の増分分解符号を 整理・解説した.
従来、情報源符号化と統計的推論の問題は相互に独立に研究されて来たが、 ここでは、多元情報源が許されたレートのもとでそれぞれ独立に圧縮され、 復号器がそれらの符号化された情報をもとに統計的検定を最適に行なう問題を考える. これに関した基本定理を示した.
Kolmogorov や Chaitin らによって開始されたアルゴリズム情報理論を発展の跡を たどりその基本的論理について解説したもの.とくに、アルゴリズム情報理論の中で 重要な部分を占める「乱数」の概念とkolmogorov 複雑量との関係および 計算可能性との関係に焦点をあてた.
情報圧縮とはなにか,データ圧縮とはなにか,を具体的例を取りながら初歩から解説したエッセイ風解説論文.Rissanenによる2段階符号化やMDL原理の基本的考え方を紹介したあと,Kolmogorov や Chaitin らによって開始されたアルゴリズム情報理論との関係についても触れる. たどりその基本的論理について解説したもの.
従来の統計学で確立された基本概念である仮説検定と 母数推定の問題と情報理論の 基本的概念であるデータ圧縮との接点で提起される新しい形の問題を取り上げて 解説したもの.このような問題が情報一般に登場する微分幾何学的構造を 有することも述べている.
Shannon 以来の情報源符号化理論の歴史の概略を解説したものである. Shannon の情報源符号化理論が統計的理論として誕生した「弱点」を克服して 画像圧縮技術、フアクシミリなどに適した役にたつ符号に発展していく過程に 光を当てた.
情報源符号化理論の過程で誕生した Rissanen のMDL原理がその定式化の 普遍性の故に情報理論以外のデータ解析の諸分野にまでいかに適用可能に なったかを解説した.
情報理論における基本定理はデータ圧縮に関する順符号化定理と 逆符号化定理からなるが、これらは普通には情報源の標準系列という概念を用いて 証明される.ここでは、これらの順符号化定理と逆符号化定理を大偏差原理の 重要な定理の1つである Sanov の定理をもちいても証明することが可能であることを 解説した.これによって、情報理論と大偏差原理は互いに密接な関係にあることが 示されている.